釣りの「青空文庫」

No.1


おいてけ堀

田中貢太郎

〔おいてけぼり・たなかこうたろう〕

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魚を釣って帰ろうとすると、「置いてけ〜、置いてけ〜」の声が・・・。
江戸の町で語られていたという「本所七不思議」のひとつです。

「本所七不思議」は、この「おいてけ堀」のほかに、
片葉の芦送り提灯落ち葉なしの椎馬鹿囃子消えずの行燈津軽の太鼓足洗い屋敷
が、伝えられています。全部で八つ・・・これらのうちの七つを、「七不思議」としているようです。

「本所七不思議」をテーマに書かれた、宮部みゆきの『本所深川ふしぎ草紙』では、上記のうち、「津軽の太鼓」をのぞいた七つの話しが描かれています。

紹介の『おいてけ堀』は、田中貢太郎の「新怪談集」で最話されたものです。

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花守

横瀬夜雨

〔はなもり・よこせやう〕

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横瀬夜雨(1878・明治11年〜1934・昭和9年)は、幼い頃より難病におかされ、尋常小学校を卒業したのちは、独学で詩作をしていました。

友人の伊良子清白(詩人、医師)が、詩集『花守』の序文で、夜雨が弟と釣りに行ったという便りを紹介しています。
茨城県下妻に住んでいた夜雨は、小貝川に釣りに行き、楽しかったようすが伝わってきます。

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異国さかな雑談

浜田青陵

〔いこくさかなざつだん・はまだせいりょう〕

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考古学者、浜田青陵(耕作)の随筆。
食べ物に対してあまり頓着がないという著者ですが、料理に関することをと依頼され、外国での魚料理について昭和12年に書かれたものです。

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令嬢アユ

太宰治

〔れいじょうあゆ・だざいおさむ〕

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年若い友人の佐野君は、釣り竿を持って旅に出る。彼は釣りがそれほど好きなわけではなく、“隠君子の心境を味わってみたいこころから”だそうです。
鮎の解禁の日に伊豆の温泉場に出かけた佐野君のお土産話とは。

「釣の妙趣は、魚を多量に釣り上げる事にあるのでは無くて、釣糸を垂れながら静かに四季の風物を眺め楽しむ事にある」
とは、釣りの名人としても有名な幸田露伴の教えだそうです。

“文人としての魂魄(こんぱく)を練るために、釣をはじめた”佐野君。

この佐野君の本物版?と、以前読んだ文章を思い出しました。井伏鱒二について太宰治はこう述べています。

井伏さんは釣道具を肩にかついで旅行なされる。井伏さんが本心から釣が好きということについては、私にもいささか疑念があるのだが、旅行に釣竿(つりざお)をかついで出掛けるということは、それは釣の名人というよりは、旅行の名人といった方が、適切なのではなかろうかと考えて居る。
(「『井伏鱒二選集』後記」より)

「『井伏鱒二選集』後記」
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