釣りの本・8

老人と海

ヘミングウェイ / 著

■ 誇り高き老漁師の物語

老漁師サンチャゴと巨大カジキやサメとの四日間にわたる孤独な戦い。1954年にノーベル文学賞を受賞したこの『老人と海』は、「釣り」の文学といえば、真っ先に思い浮かぶ作品だと思います。

■ 釣りとキューバを愛したヘミングウェイ

作品の舞台になったのは、キューバのコヒマルという小さな漁村。
ヘミングウェイは、大好きなキューバに居を構え、執筆と釣り三昧の日々を送りました。
ヘミングウェイのヨット“ピラール号”の船長兼コックをつとめ、長年にわたる釣り友達でもあったグレゴリオ・フェンテスさん。彼が『老人と海』の主人公サンチャゴのモデルのひとりです。

グレゴリオ・フェンテスさんは、2001年に、「国際ゲームフィッシュ協会」より名誉船長の称号を受けました。
「海を愛し魚を愛することを、人生を通じて私たちに教えてくれた歴史的な船長」と称えられての受賞です。
その翌年、キューバの自宅で亡くなりました。104歳という長寿でした。

私が『老人と海』を読んだのは、中学生の頃くらいだったか、だいぶ前のことなので、詳細は忘れてしまっていますが、圧倒的な力強い雰囲気が印象に残っています。
当時は、自分が釣りをするなんて思ってもいませんでした。ヘミングウェイと、グレゴリオ・フェンテスさんとの逸話も知りませんでした。
また改めて読み返したくなってきました。古い本を整理して探してみようと思います。

ヘミングウェイは、約20年間キューバで過ごし、キューバ革命の翌年(1961年)に、アメリカに帰国し、その翌年に自ら人生に幕を下ろしました。
キューバでは、今でも彼を偲ぶことができるそうです。
ヘミングウェイが暮らした邸宅、“フィンカ・ビヒア”は、現在“ヘミングウェイ博物館”となっています。
港近くの公園には、漁師たちの協力で作られたヘミングウェイの胸像があります。
キューバを愛したヘミングウェイはまた、キューバの人々にも愛されて、名作と共にずっと生き続けていくことでしょう。

('05年3月2日)

老人と海
ヘミングウェイ / 著 , 新潮文庫
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老人と海 DVD
映画・『老人と海』
THE OLD MAN AND THE SEA
1958年、アメリカ作品
監督・ジョン・スタージェス
主演・スペンサー・トレイシー
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公園にあるというヘミングウェイの胸像は、コヒマル地区の漁師が漁船のブロンズのスクリューを溶かして制作したものだそうです。
「素晴らしき釣り師」のコーナーでも紹介させていただいたひねもす船長さんから、情報をいただきました。ありがとうございます。
ヘミングウェイが、いかに地元の漁師の方々に愛されていたかがわかる素敵なエピソードですね。